吹奏楽の楽器の中でよく使われるダブルリードの楽器、オーボエです。
部員が少ない学校や社会人の楽団には、あまり存在しない楽器でもあります。
また、♭系の楽器と一緒に演奏すると、ピッチが合いにくいので、オーボエ奏者の方の苦労はいかほどかと思われます。
オーボエは、ソロで吹くこと、フルートやピッコロと同じパッセージを奏でることが多く、独特の柔らかい音色で非常に心地いいですね。
また、曲の重要な場面でも大活躍するのがオーボエです。
今回はオーボエを始めたばかりの初心者さんのために、
オーボエ初心者はどんな練習をすれば上達するの?
オーボエ経験者が悩んだ事とその克服法
について、経験者の方にインタビューしてきました。
オーボエ初心者はどんな練習をすればいいの?
オーボエの魅力は、あの柔らかく、なめらかな音色ではないでしょうか?
演奏会などで、そんな音色を出せるとすごくかっこいいなと思います。
それでは、オーボエが、上達する為にはどんな練習をやればいいのでしょうか?
オーボエ経験者の方に質問してきましたので紹介します。
ケース1(42歳・女性・経験年数:30年)
中学から高校まではロングトーン全音域一息で伸ばせるだけ
タンギング、テンポ144で16分下のCから上のC
等、20分から30分かけてやり、
教則本を進めるだけ練習してましたが
音大以降はもっぱら曲(ソナタやコンツェルト)を練習しました。
基礎練習は確かに大事ですが、適当にロングトーンやら教則本やらを長時間吹くよりも、真剣に一曲を仕上げて行った方が遥かに身になります。
楽器によって違うとは思いますが、長時間吹けば上手くなるわけではないのがオーボエの難しいところだと思います。
ケース2(26歳・女性・経験年数:3年)
土日の長時間の練習では腹筋、背筋、腕立て30回ずつを3セットして縄跳び10分間、ランニング20分間してから楽器を吹いていました。
肺活量等鍛えられるので楽器を吹いたときに楽になります。
腹式呼吸の練習も楽器を吹く前によくしていました。
楽器を吹く上で1番大切な呼吸方法なので。
まず初めにリードだけで音を出して、10分くらいしたら楽器に入りました。
ロングトーンは8拍ずすし、タンギングは60のテンポで初めはやり、そのときに吹く曲の速さによってどこまでやるかは変えてしました。
ケース3(20代前半・女性・経験年数:10年)
真ん中のC~LowBまでロングトーン16拍。
スケールDur全調の後にmollも全調。日によってスラー、テヌートタンギング、スタッカート、マルカートなど色々変えてました。
意識することとしては、
ロングトーン→息がまず真っ直ぐ入っているか、舌つきの発音は綺麗か、音を切る際に音程が下がったり音色がわかっていないか。
スケール→Durとmollということで明るい暗いを確実にとらえる。ロングトーンで意識したことの応用編と考える。
今回は、なんと30年楽器経験がある方からもインタビューに答えていただきましたが、ダブルリードの楽器は、リードを自分で作るという作業が加わります。
自身の口に合わせて(吹く感覚)リードを作ってる光景も目にしました。
ここで、初心者の方が見てるという前提で、♭、♯での表記ではなく、経験年数が長かったり、最初から指導されてるところは、ドイツ語読みに慣れてると思います。
Es⇒E♭
Des⇒D♭
等、♭系には、es(Eの時はsのみ、Hの時はBに代わります)
ついでに、♯系はisが付きます。
また、Durとmollは、長調と短調です。
Dur⇒長調、最初の文字を大文字にします。
moll⇒短調、最初の文字は小文字です。
この辺りは、楽典の最初の方に書いてあると思いますので、調べてみてくださいね。
オーボエは、フルート、クラリネットとピッチを合わせるのが非常に難しいですし、オーボエ自身の音程を取るのも中々難しいものがありますね。
まずはしっかりと、音を出す練習から、できれば教則本でフレーズの練習を取り入れてみるのも良いですね。
オーボエ経験者が悩んだ事とその克服法
ケース1(42歳・女性・経験年数:30年)
●どんな悩みがあったのか
まず最初にぶつかる壁は運指の難しさではないでしょうか。
Fが3種類あるので初見でどの指遣いで吹くのかを考えながら吹かなければならない。
EsとDesのキィが隣あってるからフラットが4つ付いたあたりから右手の小指は大忙しとなり、左小指のEsを使わないとスムーズに演奏できなくなる。
又、全体的にピアニシモを出すのが難しい楽器なので、合奏中に指揮者に『そこ吹かなくても良いよ』等注意される。
低音になるとそれが顕著になるので2ndを吹く時は非常に神経を使う。
安定した音程を保つのもとても難しいと思う。
●その悩みをどうやって克服したのか
運指に関しては、初見で譜面にどの指遣いで吹くかを書き込みながら練習していき、その指で拭くことが当たり前の状態になるように練習する。
トリルキィなど、あまり知られていないけど便利な運指があるのでいろいろ調べてみると良いです。
ピアニシモ含めダイナミクスに関しては、フォルティッシモからピアニッシモまである程度出せるリードの作成ができるようになってなんとか乗り越えた。
音程に関しても吹奏感の良いリードを作ること(もしくは手に入れること)が上達の近道だと思う
ケース2(26歳・女性・経験年数:3年)
●どんな悩みがあったのか
腹式呼吸を楽器を吹きながら取り入れるのが苦手ででした。
チューニングが苦手で、ぴったしの安定になる感覚や吹き方をなかなか覚えれませんでした。
コンクールでたしかテンポ140くらいの速い曲で私は速い指遣いが苦手で練習でも合奏でも指が回らないこともありました。
オーボエはソロ楽器なのでソロが多かったのですが、合奏でよくもっと優しい音を響かせてって言われることが多く、真っ直ぐな音が得意な私にとってすごく難しかったです。
●その悩みをどうやって克服したのか
腹式呼吸は普通に何もせずに意識をすれば出来るので、それを楽器を吹きながらも意識をしました。それを続けていくうちに知らずと出来るようになっていました。
チューニングはまず音の感覚を掴むためにピアノで弾いて声を出しました。コンクールの曲とかはピアノで弾いてみんなで歌っていました。
声を出すことで感覚を掴み、実際に吹く時はその声の音をイメージし、チューニングで細かい部分は調整することをしていました。
速い指遣いはゆっくりから少しずつテンポを上げていくと慣れもあり出来るやうになりました。
優しい音はいっぱい息を吸って、歌う優しい音をイメージして吹きました。あとビブラートをかけてみるとよかったです。
ケース3(20代前半・女性・経験年数:10年)
●どんな悩みがあったのか
・個人練習
フレーズの長い曲を演奏する際のブレスコントロール。
音色のコントロールの仕方。オーボエはとにかく音色にばらつきがかなりあると思っています。高温と低音であまりにも音色が違う中高生、大学生になっても音色がバラバラな人は山ほどいます。
・合奏(吹奏楽)
木管でとにかくピッチが合わない。フルート、オーボエ、クラリネット。
金管との音量バランス。
・合奏(オーケストラ)
弦楽器にどう上手く溶け込むか。
各弦楽器首席とのアンサンブルの仕方。
●その悩みをどうやって克服したのか
・個人練習
ひたすらロングトーンを練習し、なるべくブレスをし過ぎないようにしました。オーボエは息があまる楽器なので、しっかり吐いてから吸わないと二酸化炭素が溜まって苦しいです。
高音が細い音にならないようにしっかり息をいれる。
低音の音色が散らばりすぎないように。(オーボエは低音がなりやすいので、ついつい息を全て入れて音色が汚くなりがちです)
・合奏
吹奏楽にしろオーケストラにしろ、ピッチはかなり大きな課題です。
マーラー1番の冒頭などピッチ悪いと聴く気になれません。
ピッチは各自合わせて、パート練習、セクション練習をする。
この時に大切なのはバランスです。
大体フルートとオーボエの時はフルートがガツガツ吹きすぎると音色悪くなり、音程も高くなるのでオーボエの上に乗るように、パユのように吹くのがコツです笑
吹奏楽の中では、♯系の楽器は浮きがちになります。
これは、指導者にもよるんですが、オーボエ・フルート・コントラバスなど、♯系の楽器を丸無視してチューニングをやってるケースが多いですね。
そういうバンドに限って、B♭の音だけ一生懸命併せてる傾向にあります。
なんか、合奏前の儀式みたいですね(笑)
特に#系の楽器があるバンドは、ハーモニーの練習から、ピッチの気持ち悪さを体感させ、どれくらいの高さを吹けば心地よくなるかという感覚を練習で持たせる必要があります。
それは、基礎合奏の際にコラールやフレーズの練習をすると思いますが、そういう時に意識付けすることで、無意味なチューニングに時間をかける必要がなくなります。
チューナーかざして音を合わせてるバンドも見かけますが、論外ですね(笑)
特にオーボエは、音を取ることの難しさを感じてらっしゃるようで、他の楽器より繊細にハーモニーが聞けるのでしょうね。
初心者の内から、意識して取り組めればいいですね。
オーボエ初心者の練習方法と悩み・解決方法まとめ
今回は、オーボエ初心者の練習方法、オーボエ特有の悩みとその解決方法をまとめました。
バンドの立ち位置的には、ソロが多く、その柔らかい音色が観客を魅了する一方、音程を安定させる技術や、リード選び・作成と福男環境を整えるのが非常に繊細な楽器です。
初心者の内から、そういう音程やなめらかな指使い、など意識して練習する事が必要です。
どうしても目立つ楽器ですので、堂々と演奏できるようなると良いですね^^