吹奏楽の楽器の中で特に難しいとされるホルンです。
ホルンは、管の長さも長いし、ベルは後ろ向いてるし、マウスピースはちっちゃいし・・・
トランペットやトロンボーンみたいに華やかではないけど、ホルンは、特にクラシックには絶対に欠かせない楽器です。
もう超重要!!
ホルンがあるのとないのでは、同じ曲?と言っていいほど味気ないものになります。
そんな重要なホルンですが、一歩間違うと汚い音しか出せなくなります。
私も吹奏楽を30年以上経験していますが、本当に上手だと思ったホルン奏者は意外に少ないです。
それだけ、難しい楽器なんだなと思います。
今回は、初心者ホルン奏者のために
ホルン初心者はどんな練習をすれば上達するの?
ホルン経験者が悩んだ事とその克服法
について、経験者の方にインタビューしてきました。
ホルン初心者はどんな練習をすればいいの?
ホルンって、ビジュアル的には中々目立たないですが、(演奏の配置で意外に埋もれてることが多い)音で支えるという表現がぴったりな楽器です。
楽団を支える訳ですから、音色一つとってもシビアにならざるを得ません。
他の楽器と違ってF管楽器ですが、ダブルホルン等が今じゃ主流でB♭に変換して吹いてる人も多いのではないでしょうか?
ただ、B♭にするとピッチが著しく悪くなる人も結構いて、基礎練やれてないなと思うこともあります。
それでは、ホルンが、上達する為にはどんな練習をやればいいのでしょうか?
ホルン経験者の方に質問してきましたので紹介します。
ケース1(30代・女性・経験年数:20年)
中学校時代:教則本の「テイップストレーニング」を用いての練習
高校時代:OBと講師の先生監修によるオリジナルトレーニングを用いての練習(全体基礎でパート基礎は別にあり)
大学時代:教則本の「3Dトレーニング」を用いての練習
現在も高校時代のモノで基礎練習をおこなっているのでそちらについて少し詳しめに↓↓
マウスピースを使っての音階ロングトーン(テンポ80)
楽器での音階ロングトーン(4拍と8拍)
クレッシェンド&デクレッシェンドで8拍⇒4分・8分・3連・16分のタンギング練習(上りテヌート、下りスタッカート)
E♭音階での8分タンギング
F音階での8分タンギング
4分~16分まで4拍ずつタンギング(上りテンポ100、下りテンポ120)
B♭半音階を4分~16分まで
ティップストレーニングNo7
スケールトレーニング
ハーモニートレーニング(たまにリズムに変えて練習)
練習曲①
練習曲②
ケース2(40代・女性・経験年数:2年)
16拍ロングトーン、バランス(チューニングB♭からFに下がる)、8拍4拍ロングトーン、20拍4拍ロングトーン、4拍2拍ロングトーン、32拍4拍ロングトーン(B♭・F・C・E♭・A・D♭Dur)、半音階を72のテンポで上がっていく(4分音符)、タンギング(tempo126まで)で4分×4拍→八分×4拍→三連符×4拍→16分×4拍を繰り返す、その他に体力をつける為に歌を歌いながら腹筋やV字バランス、呼吸練習を行っています。
ケース3(30代・女性・経験年数:3年)
ロングトーン8拍とタンギングをメトロノームで3段階は一番最初に毎回する、
マウスピースのみで音階を出す練習、
低い音や高い音問わず息を一定に出せるように一音ずつムラなく吹く練習、
実際に曲を何度も吹いて口と体に覚えさせていく、
曲の譜面に気をつけることを色つきペンで分かりやすく書いて見ながら吹く、
肺活量を強化するために足上げ腹筋とグラウンドを数週走る、
他の人達の音と合わせながら自分の音がブレていないかの確認、
人前で吹いて自信や経験を積んでいく、
今回経験年数の長い方と、比較的短い方にインタビューをさせていただいたんですが、やはり、経験年数が浅い方は、筋トレ主義者になってますね。
肺活量はかなり必要ですし、体力も必要です。
しかし、使う筋肉が違いますので、筋トレするくらいなら、ストレッチや体幹をやってインナーマッスル鍛えた方が良いと思います。
ただ、いい音を出すためには、ケース1のように、教則本を基礎練から使うのもおススメです。
エチュードなどを取り入れると、飛躍的に伸びるケースが多いですね^^
ホルン経験者が悩んだ事とその克服法
ケース1(30代・女性・経験年数:20年)
●どんな悩みがあったのか
まず、マウスピースで音が出ずそこから躓いた(音を出すのに1週間掛かった)。
その後音が出るようになったからは高音域がずっと苦手で未だ解決方法は分からず。
それから、高校時代歯の矯正治療を本格的に始めたため全く音が出なくなり、矯正器具の影響で口内炎が大小合わせて8つできてしまった。
アンブッシュアも変えざるをえなかった。
その後は少しずつ慣れていくしかなかったが、矯正治療終了に合わせて器具を取り外した際にまたアンブッシュアを変えねばならず大変だった。
●その悩みをどうやって克服したのか
マウスピースは先輩からのアドバイス(コツ)を実践したら面白いくらい音が出た。
高音域はそれに準ずるパート(Hrの場合1stや3rd)をたくさんこなせば音自体は出るようになるが(いい音かどうかはまた別問題)、得意とする低音域を担当してそちらを磨くようにした。
矯正に関しては本当に慣れるしかない。
私のように楽器を始めて何年も経ってしまったあとだと厳しいかもしれないが、もし楽器をやり始めたばかりなのであればあまり負担にならない楽器にかわるのも一つの手だと思う。
ケース2(40代・女性・経験年数:2年)
●どんな悩みがあったのか
①HiB♭やHiCを一発で出すのが難しい
②チューニングの時に音が小刻みに揺れてしまう
③ブレスしたあとの音をしっかり出すことが出来ない
④スタッカートやヌートの違いを出すことが難しい
⑤スタッカートがテンポより遅れてしまう
⑥音がこもってしまいがち
⑦ホルンは裏打ちのリズムが多いのでリズムを間違えてしまう
⑧in tempoに合わせて連符ができない、といった練習で壁にぶつかりました。
また、まだ克服できていないところもあります。
●その悩みをどうやって克服したのか
音をイメージしてチューナーをしっかり見ることに注意をし、おなかで支えてしっかり一定の音を出せるように腹筋強化に重点を置きました。
アーティキュレーションに気をつけるようにしました。
intempoで連符を、ふけるように、最初は、ゆっくりのtempoから少しずつtempoをあげていきました。
音がこもってしまいがちなので、一発で音をだしたり、ホルンの手の入れ方に工夫をしました。
裏打ちのリズムを間違えないように足でリズムをとったり、8分を、頭の中で数えたりしました。
ケース3(30代・女性・経験年数:3年)
●どんな悩みがあったのか
最初に楽器の音を出す段階でなかなか出なかった時、
高い音や低い音は音がはずれやすく正確な音をなかなか出せなかった時、
肺活量が無かった時は息継ぎをまだしない方が良い時に息継ぎしてしまう時、
ロングトーンが波をうったりしてブレてしまう時、
タンギングがキレよく出ない時、
音の強弱をどのくらいつければいいか分からない時、
足上げ腹筋がなかなか出上手に来なくて肺活量が足りない時、
腹式呼吸をしながら楽器を吹くことが出来ない時、
●その悩みをどうやって克服したのか
楽器の音が出ない→ひたすら練習、
高い音や低い音の時に正確な音をなかなか出せなかった→その音と一音前の音を順番に吹きながらゆっくりと口と体に覚えさせていく、
肺活量がない時に息継ぎをしない方がいい時に息継ぎしてしまう→足上げ腹筋や風船を膨らませて肺活量をつけていった、
ロングトーンが波打つ→足上げ腹筋、
タンギングがキレよく出ない→キレよくキレよくと思いながら意識して練習、
音の強弱のつけかた→一度大げさに強弱をつける、
足上げ腹筋が出来ない→出来る角度から順番に慣らしていく、
腹式呼吸ができない→足上げ腹筋をマスターして腹筋を意識する
ホルンは、最初の音が出なかったという方がかなり多いイメージです。
3人の方も最初の音を出すところで躓いてますし、それだけ音を出すのが難しい楽器なんですね。
他の楽器ではあまり聞かない悩みも多数あってそれを克服する方法も様々です。
是非参考にしてみてください。
ホルン初心者の練習方法と悩み・解決方法まとめ
今回は、ホルンの練習方法、ホルン特有の悩みとその解決方法をまとめました。
中音域を一手に支えるホルンは、それだけスキルが求められますし、ホルンが上手なバンドは、5割り増しくらいに上手な演奏に聞こえます。
せっかく、重要なパートを任されてるのですから、しっかりと安定した音が出せて、バンドの骨格を背負えるように頑張ってくださいね。